栃木県の緑豊かな町に建つ、シンプルモダンな住宅。周囲の景観も活かした住宅設計を担当したのは、建築家の押山剛司さん。室内には2台のrisoraが設置されています。設計段階から、エアコンを設置するならrisoraだと決めていたという押山さんに、住まいの考え方とrisoraを選んだポイントについてお聞きしました。

仕切らないワンルームと吹き抜けの大空間で広々と

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▲1階の奥から、シマトネリコの木がそびえる玄関ホールを眺めたところ。スタイリッシュな階段も押山さんが設計し、造作したもの。

今回ご紹介するのは、栃木県出身の押山さんが自身の設計事務所を設立後、初めて設計したという個人住宅。もともと知人だった施主のIさんから依頼を受けて設計し、2019年に完成しました。

Iさんはおひとり暮らし。2階に寝室を設けて独立させ、1階は極力仕切りのない、広々としたワンルームになっています。

エントランスは、広々とした土間スペース。吹き抜けの空間を活かして、シマトネリコの木が1本そびえ立っています。エントランスの片隅には天板を設置して、PC作業などができるワークスペースとして使えるようになっています。

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▲1階の間取り図。エントランスから奥の和室まで、仕切りのない広々としたワンルーム。キッチンや洗面所などの水回りはぐるりと回遊できるようになっている。

「1階は、Iさんご自身から極力仕切りをなくしたいとご希望をいただいてプランニングしました。エントランスから、ダイニング・リビング・和室と一続きの空間になっています。水回りはエントランスから見えない場所にまとめました。ぐるりと回遊できるので、家事導線も快適です」(押山さん)

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▲キッチンや壁、造作した棚などはシンプルに白で統一。

インテリアは、シンプルにまとめたいというIさんの希望どおり、壁は白に。建具や床、階段には木材を使用し、温かみも感じられる空間になっています。

1階の奥には、20cmほどの小上がりになった畳スペースを設けました。
Iさんは「畳の小上がりは、訪れる友人たちのお気に入りスペースでもあります。リビングより一段上がっていることから、寝転がったり、あぐらをかいて座ったりしていても、リビングにいる人と心地いい距離を保てます。人が集まって、その時々の雰囲気と距離感を保てる家です」と言います。

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▲1階奥の畳スペース。窓は高い位置にあり、まわりに高い建物がないため、外から室内が見えることはない。

憧れの“階段のある生活”と、周囲の景観を生かす幅2m50cmの窓

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▲2階の寝室の窓から外を見たところ。窓が壁の左側に寄っているのは、近隣の住宅が視界に入るのを避けるため。カーテンを設けず、常に景色が見える窓からは、山の手前に広がるそば畑が見えている。

Iさん宅の特徴のひとつが、「窓」の使い方。住宅の周辺には畑や山など自然を望むことができる環境であるため、「窓からの景色がどのように見えるか、現場で確認して設置しました」と押山さん。

「1階奥の和室側の窓は、家の中の“どこから眺めるか”によって、景色が変わります。1階のエントランス側にいるときには遠くの山の稜線が、和室側にいるときには空だけが見えます。また、階段を上がった2階にある寝室の窓からは、近くのそば畑の緑を眺めることができます」(押山さん)

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▲和室側の窓から見える景色は、高さによって変わる。近くの景色を生かせる窓の配置と大きさは、着工後も現場に足を運んで設置直前までチェックしたという。

住宅を2階建てにしたのは、「それまで2階以上に住んだことがなかったため、階段を上り下りする生活に憧れがあった」という施主のIさんたっての希望から。

「2階の寝室には北と南の両側に扉があり、どちらも吹き抜けを見下ろすことが可能です。玄関の植栽や窓からの景色と合わさると、街を見下ろしているような気分になります」と押山さんは言います。

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▲1階奥の吹き抜けからの眺め。2階の寝室に扉が設けられていることがわかる。

朝、寝室で目を覚まし、扉を開けると、まず目に入る外の景色。階段を下りていくと、見える景色も変わっていきます。

吹き抜けの大空間は、2階の窓から光が入ることで心地よいスペースになり、Iさんも気に入っているそう。住んでみると、吹き抜けに音が心地よく響くという発見もあり、「スピーカーを購入したり、白い壁をスクリーン代わりに、映画を見るためのプロジェクターを買ったりしたい」と、Iさんはこの家での暮らしを楽しんでいる様子です。

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▲吹き抜けの大空間には窓から自然光が差し込み、明るく心地良いスペースに。

大きな窓は室内だけでなく、外観にもいい影響を与えています。周辺は住宅地で特別明るい建物もないため、Iさん宅に明かりがともると、ひときわ存在感が増し、まるでカフェのような雰囲気に。さらに押山さんは景観に溶け込むよう、建物だけでなく家のまわりの植栽や照明も合わせて設計。外構の照明は日が暮れると自動で点灯するようになっており、帰宅時も温かく迎えてくれます。

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▲植栽や照明も、建物と合わせて計画。雰囲気の良さから、カフェと間違えられることもあるそう。

存在感があるのに、すっきりとなじむ。それがrisoraの魅力

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▲1階奥の和室スペースにはrisoraのブラックウッドを設置。窓から見えるのは遠くの山の稜線。

こうして出来上がったIさん宅。家具や荷物を入れる前の竣工時写真の段階で、すでに2台のrisoraが設置されていることがわかります。設計段階からrisoraを想定していたことで、周辺の窓や収納、建具とrisoraの輪郭が一直線上に揃えられるなど、より整った印象を与えています。

空間に合わせてrisoraを入れることは、押山さんからの提案だったそう。

「risoraのことは、2018年の発売以来知っていました。よく行く二子玉川の蔦屋家電で実機も目にしていたんです。186mmの薄さは他のエアコンと比べても際立っていて、とてもスマートに感じました。室内機のパネルのカラーバリエーションが豊富なのも他にはありません。
今回の施主のIさんは、インテリアについてはとにかくシンプルにしたいという希望があり、壁の配置も最小限になるようスタディを重ね、削ぎ落せるところまで落とそうと考えました。risoraのすっきりした佇まいはその考えに似ているのではないかなと思って、ご提案しました」(押山さん)

提案を受けた施主のIさんも、「壁掛けにしたときに大きく出っぱらないことや、たくさんの種類の中から自由に色を選べることに魅力を感じました」と言います。

「risoraは良い意味での存在感がちゃんとあるのに、すっきりしていて、いわゆる“エアコン然”としていないところがいいなと思います。選択のバリエーションがあるのは選ぶ側にとってはありがたく、今回はお施主さんも主体的に選ぶという行為を楽しんでくれました。家づくりの過程での主体的関わりが、住まいに愛着をもつということにも繋がると考えています」(押山さん)

こうして小上がりスペースになっている和室には、ブラックウッドを。シマトネリコの木があるエントランスホールにはオリーブグリーンをそれぞれ設置しました。エントランスに設置したオリーブグリーンのrisoraは、植栽や、窓から見える山や畑の緑と相性が良いことから、押山さんが提案したカラー。

「Iさんは壁や造作の収納家具に白を選ばれていたので、risoraもホワイト系を希望されるかと思ったのですが、僕からご提案したカラーと同じものを選ばれたのでびっくりしました!」(押山さん)

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▲エントランスホールに設置した、オリーブグリーンのrisora。

部屋の広さを鑑みて、エアコンは2台を設置。本来は部屋の長手方向に風が吹き出すように取り付けるのが一般的ですが、配管や室外機置き場を加味した結果、短手方向に取り付けることになったこともあり、設置場所が決まりました。室内の空気のボリュームや流れについても設計段階から考えられ、快適な空間を実現しています。

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▲手前にオリーブグリーンのrisora、奥にブラックウッドのrisora。吹き抜けのある大空間の空調のため2台を対角線上に設置している。

この家に暮らして1年と数カ月。Iさんはrisoraの性能にも十分満足していると言います。

「以前ワンルームのアパートに暮らしていたのですが、部屋の大きさの割にあまり効きがよくありませんでした。risoraはコンパクトなのに本当に遠くまで風が届き、とても効きがよい印象です。2020年の夏は、和室のrisora1台でも快適に過ごすことができました。吹き抜けの大空間のため床暖房を入れていますが、冬場も床暖を稼働せずエアコンだけで十分でした」(Iさん)

空間と一体化したrisoraは、訪れる人の反応も上々だそう。

「竣工時に実施したオープンハウスでは70名以上が訪れましたが、risoraに対して『これ、かっこいいね!』という声も多く聞きました。今、この近所で工事中の物件があるのですが、そこにもぜひrisoraを入れたいなと考えています」(押山さん)

実家が近所なこともあり栃木への帰省の際、Iさんに会うことがあると、暮らしぶりについて話を聞いているという押山さん。Iさんも、暮らしながら少しずつお気に入りの家具を揃えている最中だそう。「丸いダイニングテーブルを置いて、友人たちと食事を楽しみたい」と、この家で過ごす時間はより充実したものになっているようです。

●写真:下山展弘

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押山剛司(おしやま つよし)
大学卒業後、丹下都市建築設計に勤務し、大規模商業施設やホテル等、海外案件などの設計に携わる。その後、岡田哲史建築設計事務所にて住宅等の設計監理に携わり、2019年に独立、押山剛司建築設計事務所を設立。
問い合わせ: oshiyama@tsuyoshioshiyama.com
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