暖かくなってきて、家族や友達とのピクニックが楽しい季節になってきました。気取らず自然、なのにおしゃれなピクニックの達人といえばフランス人。古くから名画に描かれてきた、フランス流ピクニックの方法をご紹介します。

Nobody picnics like the French, if this delightful spread is any indication.

緑豊かな森の木陰、柔らかな草に覆われた地面に、向こうに見えるのは池と小さなボート。目の前にはひっくり返ったバスケットから桃やさくらんぼやいちじくの実がこぼれ落ち、その横にはいちじくの葉やブドウの実が。もちろん、ふわふわのパンも。敷いてあるのは、テーブルクロス代わりの青いブロケード生地のドレス…。

これは、エドゥアール・マネの有名な作品に描かれた風景。原題は『水浴』でしたが、すぐに『草上の昼食』と改題されたのも、納得です。この絵画の主題は、ヌードの女性を見つめる立派な身なりの紳士で、食べ物は付け足しだったのかもしれません。でも、ここには田舎に出かけることをおしゃれなイベントとして楽しむ、19世紀フランスの流行の始まりが描き出されています。今のInstagramのルーツとも、言えるかもしれません。

牧歌的な風景をスキャンダラスに描いた『草上の昼食』のすぐ後、クロード・モネもピクニックを描きました。こちらはちゃんとしたテーブルクロスの上に、いろいろな料理が並んでいます。2本のワインとブランデー、たくさんの桃とプラム、大きなパン、歯ごたえのありそうなソシソン・ソーセージが2本、ローストチキン、分厚いミートパイなど。今、都会に住んでいる人たちは、ピクニックと言えばこの絵のようなイメージを思い浮かべます。農家の人たちは昔から、畑の近くでお昼を食べたり、間食で小腹を満たしたりしていたはずですが、私たちの間に定着しているピクニックのイメージを作りあげたのは、農民たちではなく、新しく工業化が始まったパリに住む人たちだったのです。ザリガニや空っぽのガラス瓶を芸術的に配置して優雅なピクニックシーンを描いたのは、ジェームズ・ティソ。現代のフードスタイリストにも負けない魅力的な演出です。

Romatic picnic on the beach

では、数々の名画をヒントにフレンチスタイルでピクニックする方法を考えてみましょう。

まず「どこ」でやるかはとても重要です。日陰、日なた、草の上、岩場、広場、それとも水辺の小高い場所?水辺と言っても湖か、川か、海かと選択肢は多様です。

次に「誰」は、友だちや家族のこと。誰と時間や食べ物をシェアしたいか、ということです。

それから、天気も味方にしなければいけませんから「いつ」も重要なポイントです。晴れてさえいれば、雪の上を歩くスノートレッキングも、5月の新緑に囲まれて池のほとりで過ごす午後も、どちらも楽しいものです。

ここまできちんと決めたら「何」にはそれほどこだわる必要はないのでは?そんなことはありません。まず、楽しいピクニックにするには、テーブルクロスは必須。と言っても、赤と白のギンガムチェックでなくてもかまいません。それから、おいしいものが次々に出てくるバスケットと、そこに入れる食べ物も必要です。どんな料理を持って行くかは自由な発想で考えましょう。パン、チーズ、ハムにワインが1本あれば、それで十分ですし、肉やジビエがたっぷり詰まった手作りミートパイに、クリスタルのグラスとシャンパンを添えた豪華なメニューにするのも楽しいでしょう。

Young couple lying on blanket, face to face.

私はフランスのあちこちでピクニックをしました。ブルゴーニュでは、ロマネコンティのブドウ畑を囲む塀の陰を借りて、のどかな風景を楽しみながら。トゥールーズでは、ミディ運河のほとりで19世紀に造られた水門のそばで。場所選びは本当に大切です。私はいつも、意外性と楽しさの両方を味わえる場所を探して、平たい場所や、地面に顔を出した岩や、手入れの行き届いた公園などを探しています。

いい場所が見つかったら、ピクニックバスケットを用意して、ときにはアンティークのリネンとシルバーのカトラリーのフルセット、ときには紙皿とビーチタオルを入れます。そしておいしいものも忘れずに。ピクニックバスケットは、クリスマスプレゼントのように仕上げるのがコツです。つまり、思いがけないごちそうが、次々に飛び出してくるようにするのです。例えば、コスタブラーバ産オリーブのアンチョビ詰めの小瓶、軽くつまめる塩味ローストピスタチオの小袋、とっておきのホールチーズを持って行って切り分けてもいいし、青い模様が美しいロックフォールチーズも喜ばれます。私は手作りのものを何かひとつ(フルーツタルトやミートパイなどを)加えるようにしていますが、時間がないときは、当日お店に立ち寄ってロティサリーチキンを買って行ったり、その場で作れるジャンボン・ブール(バゲットのハムサンドイッチ)の用意をしていくのもいいでしょう。

フランスでは2000年に「1000キロメートルのピクニック」というイベントが開かれました。ノルマンディーのダンケルクからプラ=ド=モロのカタラン村にのびる「緑の子午線」に沿って、みんなでピクニックをしようというイベントです。国が用意した赤と白のテーブルクロスは、なんと600キロメートル分。そこにたくさんの人がバゲットやワインを持って集まり、顔見知りも知らない人もみんな一緒に食事を楽しみました。こんな大掛かりなピクニックは1000年に一度あるかないかの特別なものですが、どんなピクニックでも、木陰でのんびり過ごし、生きている喜びを感じ、おいしいものを食べて、気ままにおしゃべりをするという楽しさは変わりません。フランスの人々が時代を超えて受け継いできたピクニックの楽しさを私たちも体験するために、これだけははずせない5つのポイントを押さえておきましょう。

とっておきのバゲット

French baguettes in wicker basket in bakery

近所でいちばんおいしいパン屋さんはどこですか? 都市部ならたいていの街にハイクオリティなベーカリーがあります。いくつか冷凍しておくと、いつでも気軽にピクニックに出かけられます。週末にピクニックを予定しているなら、4時間でできるバゲットを手作りしてみても。

高脂肪の発酵バター

ファーマーズマーケットに行くと、フランスのチーズ屋さんが作った味わい深い高脂肪発酵バターが売っています。ころんと丸い木の容器に入った産地直送のバターを買うのは、旅の楽しみのひとつですが、最近は、グルメショップやオンラインでも手に入りやすくなりました。そのまま口に入れるとクリーミーでほのかにナッツの風味が感じられます。室温で溶けず、少し柔らかくなるものを選びます。

職人手作りのハム

food photography image of a traditional roast joint of gammon or ham with a hand and carving knife slicing the juicy hot meat ready to serve and on a dark blur background

本格的なジャンボン・ブールを作るには、職人が丹精込めて作ったハムが欠かせません。伝統的なパリ風のハムは、塩漬け燻製されたもので、ほんの少し塩味が残っています。特別に高級なものは必要ありません。私が大好きなジャンボン・ブールは、近所のベーカリーで買えるもの。厚切りハムと、同じく厚く切ったバターをフィセルと呼ばれる小さめのバゲットに挟むのが、最高の組み合わせだと思っています。

ロックフォールチーズ

French Roquefort cheese

ロックフォールは、好き嫌いがはっきりと分かれる個性的なチーズです。私は硬めの洋ナシやマスカットなど、フレッシュなフルーツと一緒に、デザートとしていただくのがお気に入りです。そのまま食べるのは少し自信がないという人は、ロックフォール入りバターを作ってみてはいかがでしょう。バターの甘みがロックフォールのクセを和らげてくれます。

旬のフルーツや野菜

Healthy rainbow fruits

りんご、ぶどう、いちじくなど、旬のフルーツも欠かせません。よく熟れて食べごろになっていることが大切。まだ硬いメロンや、去年から保存していたリンゴは、ピクニックには向きません。たくさんのフルーツをそろえることは、ピクニックシーズンならではの贅沢ですから、ここはひとつ奮発しましょう。同じように、フレッシュな野菜もお勧めです。にんじんやセルリアックの千切りサラダ、ラディッシュの束、野菜のピクルスなどは、見た目もカラフルですし、歯ごたえもあって食事が楽しくなります。

 

この記事は Saveur のケイト・ヒルが執筆し、NewsCred パブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせは legal@newscred.com までお願いいたします。