サンフランシスコを拠点として活動する人気インテリアデザイナー、グラント・K・ギブソン氏は、これまで15年以上に渡って住宅のデザインを手がけ、クライアントの個性や好み、経験を反映した生活空間を創り出すことを誇りとしています。
昨年出版された著書『The Curated Home(精選された家)』では、ギブソン氏のデザインのプロセスを追体験させ、住む人の美意識を満たし続けてくれる、時代を超え精選されたインテリアのノウハウを伝授してくれます。

「旅の思い出の品をどう飾るか、家具を買うときにどんなことに注意するか、この部屋にはどんな絵が合うかといった実用的なヒントについてだけではありません。この書籍では、どのようにインテリアデザイナーが考えるかが語られています(著書序文)」。
ここでは、インテリアデザインに取り組むときに、まずどこから始めればいいかについてをギブソン氏がアドバイスします。新居の家具を揃えたい、キッチンを改装したい、あるいは賃貸マンションの模様替えのアイデアが欲しい――そんなときに「インテリアをひとひねり」するための、6つのヒントをご紹介します。

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インテリアデザイナーのグラント・K・ギブソン氏がデザインしたリビング

1. スタイルを決める

空間をどんな雰囲気にしたいか――自分ならではのスタイルを明確に絞り込むコツは、クローゼットを覗いてみることです。
フォーマルなきちんとした服が好きなのか、それともゆったりした着心地のいい服を好むのか。特に心を惹かれる色や模様があるか、などを確認してみましょう。
そして、スタイルを決めるためのもう一つの方法は、空間の雰囲気をよく表すキーワードを考えることです。トラディショナル、フォーマル、エレガント。遊び心、ユーモア、心地よさ。単色系、すっきりしたライン、モダンなど。

生活のあらゆる場面で、思いついたデザインのアイデアをメモしておきましょう。私は自宅のインテリアデザインの依頼を受けたときに、こうしたメモをクライアントとの打ち合わせの出発点にすることがよくあります。宿泊したホテルや食事をしたレストランの中で、特に気に入った場所を思い出してみましょう。それは旅先の日本で見たミニマルな雰囲気のインテリアかもしれないし、ニューヨークの古びた革の椅子のある隠れ家的なバーかもしれません

2. 好きではないものをはっきりさせる

自分の好みではないもののほうが、はるかに口に出して言いやすいです。
何が気に入らないかがわかれば、そういうものを除外して、考慮に入れる対象を絞ることができるからです。
例えば、派手な大ぶりのプリント地を見ると、子どもの頃の嫌なことを思い出すから部屋には置きたくないと思うかもしれないし、ウイングバックチェアを見ると、妹の髪を引っぱって子ども部屋に閉じ込めたときのことを思い出す、などといったように。
同様に、ある特定の色が、昔のあまりいい思い出のない時期に流行したデザインを思い起こさせることもあるでしょう。こうした記憶や反応はとても個人的なもので、人それぞれだが、テイストに大きな影響を与えます。

3. 空間を中心に組み立てる

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グラント・K・ギブソン著『The Curated Home』

空間プランニングは、スケール、つまり、あるものと別のものとの大きさの比率に影響するため、欠かせないものです。
使っている家具が、空間の割に大きすぎたり小さすぎたりすることはありがちですが、昨今、インテリアが大ぶりな家具でいっぱいになってしまっている家が多いのは、ある小売会社によるものだと私は思っています。

現実的に、置くスペースのある家具を中心に配置を組み立て、空間のバランスを考えましょう。
たとえば、広い部屋の場合。座って団欒できるスペースやテレビを見るスペース、仕事やゲームができる机のある作業スペースなど、行動別にゾーンを決めるといいでしょう。対称的なデザインは私も好きだが、何もかも対称的にすると、かえってわざとらしい感じになることもあります。視覚的な重みと配分を考え、空間全体でバランスをとることです。どんなデザインでも、鍵になるのはプロポーション(一つのものの各部分の寸法の比率)とスケールです。

4. 塗装の色を試す

塗装の選択は、最も重要でコスト効率の高い判断材料の一つです。適切な塗装を選べば、それぞれの空間を、調和のとれた形でつなぐことができます。
家を一つのものとして考えてみましょう。一度に一部屋ずつ塗装していくと、全体的にまとまりのないちぐはぐした印象になるリスクがあります。色が気分に与える影響も考えることが必要です。楽しい気分になる色もあれば、気分が落ち着く色、イライラさせられる色もあります。私の場合、壁を鮮明な白に、室内のドアを壁の白と対照的なはっきりした黒にするデザインをよく取り入れています。

塗装の色を決めるときは、実際の塗料を壁に少し塗って試してみるのがおすすめです。自然光が入る時間帯や朝日が当たる時間、そして夜にも、どんな色合いになるか観察してみましょう。
ある家によく合っていた人気の色が、別の場所には合わないといったことはよくありますし、友人の家の素敵な壁の色が、あなたの家にもぴったり合うとは限らないです。
塗料の店にある色見本は手始めとして役には立ちますが、紙の上ではきれいに見える色でも、実際にインテリアに使うと印象が変わることもあります。
白いペンキの場合は、色合いの違う何種類かを壁に塗ってみて、特にアンダートーンに注意して見てみると良いでしょう。ピンクがかった白や青味がかった白、黄味がかった白など、白ひとつでも様々です。
白い壁は、屋外の光や湿度が影響して、植物の緑や空の青が反射して見えることもあるので注意することです。

5. 高級さとリーズナブルさを取り混ぜる

美術品でも家具でも犬でも、必ずしも由緒や血統で良し悪しが決まるわけではありません。「無名」のアーティストやデザイナーの作品も検討し、形や快適性、そしてその家具や美術品が、自分の好みやニーズに合うかどうかに基づいて購入を決めましょう。
ごく慎ましいものが、その部屋の中でいちばん魂のこもった美しいアイテムになることもありえます。高価なものもリーズナブルな価格のものも、恐れずにミックスしましょう。たとえ高価でなくても、大切に思えるものはあります。とはいえ、自分が本当に好きなものにお金をかけるのはまた別の話ですが。

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ギブソン氏のデザインによるオーダーメイドの金属製レンジフードのあるキッチン

6. 床から天井へ

デザインするといっても、どうすればいいかわからないこともあるでしょう。そもそも、どこから始めればいいのかと聞かれることがよくあります。

私はだいたい、どんな部屋であれ、下から上へ進めていくようにアドバイスします。
まず、床の素材を決めます。堅木張りのフローリング、床の一部を覆うエリアラグ、タイル張り、石材、一面カーペット敷きなど、何でも構いません。最初に床を考えれば、その空間に他のものをどう重ねていくかが自然と決まります。
模様や色味の少ないナチュラルな色合いや天然素材の床を選んだら、色やインテリア用品の選択の幅が広がります。アンティークのラグを最初に決めれば、そのラグに使われている色をもとにカラーコーディネートを組み立てることができます。こういうものを並行して計画することが重要で、そうしないと、空間全体が調和して機能することがないまま多くの物事が起きてしまうというサーカス効果に陥ることになります。
最初にソファや椅子を決めると、その時点でスタイルが制限されてしまいます。何十種類、あるいは何百種類もの可能性があるエリアラグなどのほうが、融通が利きやすく、多くの選択肢が生まれます。そこへ他のものを重ねていけばいいのです。最終的な床のカバーをまず決めて、それから段々に重ねていく進め方のほうがはるかに簡単です。

最後になるが、家をデザインするときは十分に時間をかけるように、というのも私からの大事なアドバイスです。「大切にすれば、こういうアイテムは(そして、それを選んだ判断も)長い間使い続けられます」。
The Curated Home』(Gibbs Smith 2018)より抜粋

この記事はTIMEのグラント・K・ギブソンが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。