今回ご紹介するのは、部屋のインテリアを考えるうえで必ず参考になる、インテリアデザインの基本となる考え方。最前線で活躍するインテリアデザイナーや各スペシャリスト達が、これからもずっと役立つ知識となりそうなテクニックを伝授します。
まず最初にやっておきたいこと
アイデアを探す
「いいなと思う雑誌のページを切り抜いたり、インターネットで見つけたお気に入りの写真をダウンロードしたりして、集めておきましょう。部屋全体の様子や壁の色、ソファやチェアの形などです。ここでは素材は無視して、形だけに注目します。それからファブリック、カーテンのスタイル、照明器具、フローリング、ラグなどの写真をたくさん集めてみてください。自分が好きな部屋のイメージやスタイルの傾向が分かるようになります」
イレーヌ・グリフィン(インテリアデザイナー)
しばらく様子を見る
「ゆっくり時間をかけましょう。少なくとも6カ月は新しい家に住んでみて、それからインテリアを決めるといいでしょう」
ジャンナ・A・ラフキン(インテリアデザイナー)
自分のファッションをヒントにする
「クローゼットを見れば、自分がどんな色、柄、シルエットをいちばん心地良いと思うかが分かります。シンプルなもの、かっちりとしたもの、優しいもの…。例えば、きれいな色のふんわりしたファッションが好きな人なら、色がきれいでやわらかいイメージの家具に心地良さを感じやすいと考えられます」
ジョン・ローク(インテリアデザイナー)
家具の配置を決める
「家具の位置を決めたら、実際に置く前にマスキングテープで床に原寸大の印をつけ、その位置で大丈夫かどうかを確認します。マスキングテープは簡単にはがせます」
グラント・K・ギブソン(インテリアデザイナー)
色選びのコツ
好きな色を試してみる
「絵画用のキャンバスを買って、好きな色を塗ります。それを壁にかけ、部屋の明るさが変わるにつれどう見えるかをチェックしてみてください。同じように別の色もいくつか試しながら、好みの色を絞り込んでいきます」
マーク・ウッドマン(カラースペシャリスト)
狭い場所の色選び
「狭くて暗い部屋には、白以外の色が合うと思います。白を塗ると広く見えると言われますが、実際には逆で、むしろ狭さがはっきり分かってしまいます。色味がある方が良く、できれば暗い色の方が、壁の存在を目立たせないのでお勧めです」
ジョン・ローク(インテリアデザイナー)
実物の色を基準にする
古い青磁のティーポット、ペイズリー織の布の赤茶色、植物の葉の色、お気に入りのキャンドルの色など、実際の物の色を基準に、色を選んでみましょう」
サーシャ・エマーソン(インテリアデザイナー)
居心地のよい空間にするために
時間をかけて集めたお気に入りを置く
「自分にとって特別なものたちに囲まれていると、安らぎを感じることができます。私は部屋にコレクションを置くのが好きです。単に美しいだけの部屋と、心から好きになれる部屋との違いは、そこにあります」
アネット・ジョセフ(インテリアデザイナー)
ニュアンスをプラスする
「美しく仕上げたカーテンやロールスクリーンは、毎日のファッションを仕上げるおしゃれなバッグのようなもの。なくても生活に支障はありませんが、1度その効果を知ると、なくてはならない存在になります」
パトリス・コーワン・ビバンス(インテリアデザイナー)
クッションをグレードアップする
「高価なクッションをセール品のカバーに入れるのはやめましょう」
マイケル・ウォルターズ(スタイリスト)
必ず置いておきたいお気に入り
マットできめ細かい質感を
「壁にはマットな艶消し塗料を使うといいでしょう。チョークのような質感が、部屋の雰囲気をやわらかくします」
グラント・K・ギブソン(インテリアデザイナー)
包まれる幸せ
「カシミアかウールのきれいな色のスローを置くと、安心感を演出できます。暖かくしたいときにいつでも気軽に手に取れるスローがあると、とても贅沢な気分になりますね」
アネット・ジョセフ(インテリアデザイナー)
毎日をラグジュアリーに
「すべての部屋にフレグランスキャンドルを置いて、ほぼ毎日使っています。上質な厚手のバスタオルもインターネットのセールで手に入れました。きちんとアイロンのかかったベッドリネンも欠かせません」
イレーヌ・グリフィン(インテリアデザイナー)
収納のアイデア
「我が家では、シンプルなキャンバス地のボックスとブッシェルバスケットが大活躍しています。たき木から洗濯物まで、何でも入れられます」
ジャンナ・A・ラフキン(インテリアデザイナー)
賢い予算の使い方
おすすめのショップ
「中古品を委託販売するコンサインメントストアがお勧めです。基本的に商品の質が高く、とくに布張りの家具も状態の良いものがそろっています。お店に長期間置かれるほど、価格が大幅に下がる傾向があります」
マシュー・ミード(スタイリスト)
2通りに使えるものを選ぶ
「リバーシブルのベッドスプレッドなら、1枚でふたつのイメージを楽しめます」
ジーン・ノーマン(作家)
配置を変えてみる
「家具の配置を変えるだけなら、費用はかかりません。まず家具の上に飾ってある小物類を片付けてから、本体を新しい位置に動かします。そして本当に気に入っている小物だけ、もういちど家具の上に戻します」
ジャンナ・A・ラフキン(インテリアデザイナー)
一部だけ新しくする
「クッションやスローを新しいものに取り換えます。これまでと違った色やテクスチャーのものを選べば、少ない出費で大きな視覚的インパクトが得られます」
イレーヌ・グリフィン(インテリアデザイナー)
安い時期を選ぶ
「模様替えをするなら、夏の終わりや冬の終わりなど、インテリア商品がセールになる時期を選びましょう。手ごろな費用で部屋が新しくなります」
アネット・ジョセフ(インテリアデザイナー)
インテリアの基礎
部屋の配色を考えるとき、プロのデザイナーがよく使う便利なツールが色相環。色相環のしくみと基本的な使い方を学び、配色決めに活用しましょう。
インテリアの基礎:白の使い方
「スーパーホワイト」は避けましょう。業者向けによく使われる色ですが、壁に塗ると寒々しい上にテカって見えます。望ましいのは、温かみのあるオフホワイトで、淡いはちみつ色を帯びたもの。あるいは、家具の色に合わせる方法もあります。家具の色と同系色の白を、壁やトリムに使うのです。例えばブルーのファブリックが置いてあったり、ブルーがアクセントになっている部屋なら、ブルーがかった白にします。
インテリアの基礎:大きさ
実際の大きさではなく「どのくらいの大きさに見えるか」が重要です。アイテムや家具は、となり合ったものとの比較でどう見えるでしょうか。部屋全体のバランスの中に、うまく収まっていますか。味わいのある部屋にするには、大きさにバリエーションを持たせることがカギになります。大きいものや小さいもの、背の高いものや低いものをうまく組み合わせましょう。狭い部屋には小さいものを置くといった単純な選び方は、失敗のもとです。
インテリアの基礎:複数の模様を使いこなす
60:30:10の法則に従ってやってみましょう。いちばん好きな模様を使うのは、全体の60パーセントにします。2番目の模様を30パーセント、そして3番目はアクセントとして10パーセント程度の分量にします。このとき、3つの模様の大きさを変えてみてください。例えば細いストライプ、中くらいの大きさの幾何学模様、大きめの花柄を組み合わせるといった方法です。さらに、全体をまとめる脇役としてソファや床に無地を使いましょう。
インテリアの基礎:バランス
「重量感」が釣り合っていれば、バランスが取れていると考えられます。例えば、部屋の片側に大きなソファセットがあるのに、もう片方に釣り合う重量感のもの(壁面収納やクローゼット、どっしりとした絵画など)がなければ、この部屋は傾いた天秤のような状態です。と言っても、ソファと同じ重さのものを置かなければならないわけではありません。ラグの上にテーブルとチェアを2、3脚置けば、見た目の重量感をソファと同じにすることができます。
インテリアの基礎:テクスチャー
正反対のテクスチャーのものを組み合わせてみましょう。滑らかなものとザラザラしたもの、平たいものとでこぼこしたもの、つややかなものとマットなものを組み合わせると、おもしろいインテリアになります。例えば、つるりとした床のうえに毛足の長いラグを敷いたり、シルバーのコンポートの中に松ぼっくりを飾ったり、ベルベット張りのチェアに金属の鋲を打ったり。またテクスチャーを効果的に使うと、女性らしさ、素朴さ、華やかさなど、それぞれが叶えたいイメージにぐっと近づけることができ、見た目の温度感を温かいイメージから涼しいイメージに変えることもできます。凹凸のあるもこもこしたテクスチャーは落ち着きを感じさせ、艶やかに光るテクスチャーは、強いエネルギーを感じさせます。
この記事はBetter Homes and Gardensに掲載され、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。