うらやましくなってしまうような生活や光景を、SNSなどで目にすることが当たり前となった現代。不完全なものに美しさを見出す日本の伝統的な美意識「わびさび」の価値観が、いま改めて関心を集めています。ここでは、「わびさび」の世界観から影響を受けた海外インテリアデザインの実例と各デザイナーのアイデアを、写真とともに紹介します。

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いまやネット上には、たくさんの完璧なインテリアの画像が溢れかえっています。Instagramをざっとスクロールするだけでも、美しく緻密に整えられたベッドや、ハッシュタグ「#shelfie」(自宅の棚の写真をSNSに投稿すること)で見つけられる本棚、つい雑誌の見開きと間違えてしまいそうなリビングルームなどが出てくるでしょう。

あまりに完璧なものばかりをSNSで見ていると、インスピレーションが湧くどころかなんだか疲れてしまうという人は、きっとあなただけではないはず。

そんななか最近、「ありのままであること」への関心が高まってきています。

Pinterestでは、「わびさび」のキーワードが検索数を伸ばしていて、2017年から昨年までにかけては、その検索数はなんと98%も増加したそう。インテリアデザインを考えるうえでも、この価値観がちょっとした助けになるかもしれません。

わびさびとは

「わびさび」はもともと仏教に由来している、日本古来の美意識のこと。仏教文化では、茶道を行う時に手作りの茶碗が使用されていましたが、器が欠けていたりいびつな部分があっても、大切にされていました。器が割れた時には金や銀の樹脂で補修されることが多く、その欠けた部分を隠すのではなく、時の経過や実用性を味わおうとする考え方がそこにはあります。

完璧さを追い求めるのではなく、本来の姿を受け入れようというこの独自の概念は、現代の日本でも存在しています。ジュリー・ポインター・アダムス氏による著作『Wabi-Sabi Welcome』では、この価値観は2つの言葉が組み合わされたものだと説明されています。

「”わび”とは、素朴さや謙虚さ、自然と調和して暮らすことなどを意味します。少しのもので満足し、今あるものを最大限生かしつつ、常にものを減らしていく人を表す言葉です」と、その中でアダムス氏は著述。一方、”さび”については、「時の経過とともに起こることを指します。時が過ぎることの美しさと本来のあり方、そして儚さを表すものです」と解釈しています。

わびさびを家に取り入れる

わびさびは価値観として、家も含めた生活のさまざまなところに取り入れることができます。わびさびの考え方を通して家のインテリアを考えるということは、簡単にいえば、不完全さのなかに美しさを見出すということです。たとえば、しわが伸びていないままのリネン生地を使うことや、友人との夕食の時に不揃いなお皿をテーブルに並べること。手の届かない新品の家具にお金を使うよりも、リビングに置いた中古のソファに価値を見出すこともそうです。

実際にこれを実践するのは簡単。時間やお金の投資は、わびさびには必要ないのです。素朴さを重視するこの考え方は、「少ない方が豊かである」というアプローチをインテリアに取り入れ、豪華さよりも必要最小限であることに価値を置きます。家の中に入れるものはすべて、慎重に考えた上で購入されたもの、かつ長持ちするように作られたものが望ましいとされています。目指すのは素朴さであり、必ずしもミニマリズムである必要はありません。

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  1. ハンドメイドを選ぶ

わびさびでは、大量生産されたものよりも、職人の作った家具やアイテムの方が、一点ものとして好まれます。「同じものなんてありません。100%完璧なものなどないのですから」と言うのは、世界を舞台に活躍するインテリアザイナーのアナ・カミングス氏。手作りのアイテムは品質が管理されてないということではなく、不完全なものは、それがどんな些細なものであっても、陶器、染物、木製テーブルなどの美しさを引き立てるのです。

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  1. 質素に生きる

ニューヨーク在住のインテリアザイナーでアーティストのマイク・ハリソン氏は、「何か新しいものを買う前に、すでにあるものを別の用途に使えないか検討すること」を提案しています。たとえば、大事にしていて捨てられない縁の欠けたマグカップを、机の上の鉛筆立てとして生まれ変わらせたり、塗料を使って家具の見た目を簡単に変えたり。DIYをした後に感じる満足感によって、そのアイテムは一層愛着のあるものとなります。

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  1. 自然のアクセントを加える

わびさびは基本的に、自然なままの完璧ではない事柄に価値を置く考え方です。私たちにとって自然とは、もっとも何かを教えてくれる一番の存在。ハリソン氏によると、木や石などの有機素材で家を飾って、自然のものと触れ合うことも、わびさびを構成する大きな要素だといいます。もし自然素材を用いたスツールやコーヒーテーブルなどが古風すぎると感じたら、暗めの粘土のような素材や金属と組み合わせると、よりモダンな雰囲気にすることができるとハリソン氏。新鮮な花、植物、天然石などを取り入れるのも、自然を簡単に家の中に取り込むことができる方法のひとつです。

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  1. 色で落ち着きを創り出す

ビーチで過ごしたりハイキングをしたりすると穏やかな気持ちになれるということには、様々な理由があります。そのうちの1つが、アースカラー。「わびさびでは、緑、青、茶色っぽい灰色、灰色などのアースカラーが称えられています。自然界との繋がりを生み、安心感をもたらしてくれるからです」。そう話すのは、Crane & Canopyの創業者カリン・サン氏。特に寝室などでは、こうした色合いをインテリアに取り入れることで、自然がもたらしてくれる落ち着きを再現する事ができるでしょう。

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  1. 本来の自分になる

わびさびを取り入れたインテリアで一番重要なのは、流行りに乗らなくても良いことかもしれません。自宅は、自分が気に入っているもので満たされているべきであり、不完全なところや変わったところがあっても関係ないのです。「私たちが暮らすのは、雑誌の見開き1ページの中ではありません。このような意外なアイテムや要素を取り入れることは楽しさをもたらし、誰もが内に秘めるデザイナーの顔を発揮させることにもなります」とハリソン氏は言います。表面的なことばかりの外の世界。そこからちょっと離れて、自分の家だけは本当の姿でいられる場所にしてみませんか。

 

この記事はBetter Homes and Gardens のPJフェインステインが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。